AIによる地震予測の精度は?進化する震災対策の最前線
「地震大国」とも呼ばれる日本では、数十年に一回のペースで巨大地震が発生しています。
この100年の間にも、1923年の関東大震災、1995年の阪神淡路大震災、2011年の東日本大震災、2016年の熊本地震、2024年の石川能登半島地震… 日本は多くの震災に見舞われてきました。
日本にいる限り地震とは無縁で生活することは難しいといえるかもしれません。「首都直下型地震」や「南海トラフ地震」が起きると予見される中、私たちは震災とどう向き合っていけば良いのでしょうか。
その一つの答えとして、地震が起きたときの備えをしておくことがあげられます。地震を防ぐことはできませんが、地震に備えることはできます。
災害が起きた時のための携帯トイレや懐中電灯などの防災キットを備蓄したり、水や保存食を買っておくこともおすすめです。
備品を集めることに限らず、災害が起きた時の行動マップを決めておくことや、近くの避難所の確認も良いでしょう。
「備えあれば憂いなし」とは言いますが、東日本大震災が起きたあと、私は家族で防災グッズを買いにいきました。
懐中電灯や乾パン、水などを買って、食糧の供給が途絶えても5日間は生存できるようにしています。
この備えが杞憂に終わることを願ってはおりますが、万が一のために備えておくことは必要だと思いました。
かなり長い前段にはなってしまいましたが、自分たちでできる準備に加えて、テクノロジーを活用した災害対策について現在多くの研究が行われています。
特にAI(人工知能)を活用した災害対策が特にいま注目されています。今回はAIがどのように災害対策に使われているのかを説明します。
1. AIによる地震予知
日本は世界有数の地震多発国です。2024年1月1日にも石川県能登地方でマグニチュード7.6の大地震が発生し、その後も多くの余震が続きました。
地震アラートが絶え間なくなり続け、不安で眠れない夜を過ごした方もいると思います。地震による津波の被害もみられ、その被害は甚大でした。
そして、多くの被災された方が避難所で生活を余儀なくされました。
そんな震災が多い日本だからこそ地震に対する研究が進められています。耐震性のある建築法や地震アラートを発令するためのシステムに多くの研究や投資がされてきました。
特に地震アラートのアプリの「Nerv」では、地震が起きてから何秒でそのアプリを使っているユーザーのもとに衝撃が来るかをGPSの位置情報を活用して予測し伝えてくれます。この記事の読者の方もアプリを使われている方もいるかと思います。
地震への研究がさかんに行われている日本ではありますが、地震を予測することについての結論は未だ出ていません。昔から研究者のあいだでは、地震を予測することは不可能だと考えられてきました。
しかし、最新のAIを活用すれば、地震を予測することができるのではないかという声も上がっています。
すでに日本で地震予測を行うサービスもでており、「MEGA地震予測」がその一例です。
東京大学の名誉教授であり測量工学の世界的権威と認められた村井俊治教授がデータ解析を行って地震の予測をしており、信ぴょう性の高いサービスです。
JESEAが提供するこのサービスは、国土地理院が設置する1300箇所の電子基準点のGPSをデータを使って地表の異常を確認しており、1ヶ月に2回ほどメールマガジンで地震予測を送ってくれます。
メールマガジンでは地震が発生するであろう地域とその予測震度を発表し、およそ70%の確率で予測が的中します。2020年にはAIを導入し電子基準点のデータを大量に解析することができるようになったそうです。
実際、私も「MEGA地震予測」を2年ほど前から1ヶ月200円で定期購読しています。毎回、ピンポイントで地域と地震の大きさを予測してくれるので便利です。
ただ、石川県能登半島の地震は事前に予測することができずに、「現在のテクノロジーの限界か」と思うところもありました。便利なサービスではありますが、世の中に絶対という言葉はないのだなと改めて感じております。
常に災害は予想外ところからやってくる、昔おばあちゃんが教えてくれた言葉を思い出しました。どんなことが起きてもいいように備えることが必要ですね。
日本のサービスの他にも、外国でもAIを活用した地震予測の研究が行われています。テキサス大学オースティン校の研究チームが中国で7ヶ月間に及ぶ地震予測の実験を行いました。
その論文はアメリカ地震学会会報にも掲載されています。研究では、約70%の確率でAIが地震を1週間前から予測できるということでした。(的中率としてはMEGA地震予測と同じぐらいですね。)
テキサス大学の研究チームは5年に渡って地震学の記録を集めており、地域ごとに地表の異常を検知することができるようです。今後このような研究を活かして、地震の予測ができるようになることを切に願います。
今後、地震が多発する日本でのAIを使った地震予測の研究はさらに重要性が増していきそうです。
現在の技術では地震の予測できる確率は良くて70%ほどなようで、確実なことはわからないいのかもしれません。
しかし、確実性がないからテクノロジーを使わないのではなく、テクノロジーのできることを活かして、いつ何が起きても良いように自身で備えをしていければ良いなと思いました。
2. AIを活用した救助活動
AIは地震を予測する時にも活用されていますが、災害が起きた際の救助活動にも使われることが増えているようです。一番メジャーなAIの活用の用途は、ドローンが撮影した動画や画像の解析です。
全長1メートルほどのドローンにカメラを取り付け、倒壊したビルや家屋などへ飛ばします。リアルタイムで送られてくる動画や画像を分析し、避難に遅れてしまった人の発見や状況把握に役立てるようです。
また、ドローンに消化剤を取り付け、火災が起きた場所に投下するといった用途にも使われているようです。
その他にも、地震災害が起きた際に道路が倒壊し、自動車が通行できずに支援物資の配給がとどこおるという問題にもドローンが有効です。
このような状況でもドローンに食糧や医療物資を持たせて目的地まで届けることで、いち早く物資を届けることが可能になりました。
ただ、ドローンにも弱点がいくつかあります。電波の届かない地下街やノイズが混入しやすい工場では運用が難しいということが挙げられます。
電波が全く届かない場所は最近では随分と減りましたが、何かの拍子に電波が一時的に切れたりすることは電子機器なので起こりえます。
また、天候の変化に弱かったり、一回で運べる物資の量がトラックや船舶に比べて少ないことも短所として挙げられます。
しかし、最近では電波に頼るだけではなく、AIのアルゴリズムがドローンに組み込まれ電波が途切れた環境でも、障害物を避けながら目的地に到達することができるようになっているようです。
これらの技術により、人が入れないような場所でもドローンを使って救助活動が行えるようになりました。また、ドローンはその小型のサイズを活かして様々な状況に合わせて操作することができるため、地震に限らず多くの災害時に使われ始めています。
ドローンを扱う上での現在の課題は、ドローンの操作方法やバッテリーの保管方法の知識を現場で正しく習得する必要があるということです。
都道府県の消防本部でドローンの導入は毎年増えているようですが、ドローンが目的地に到着する前に墜落するというような事故も起きているようです。
石川県羽咋郡市の消防本部が断崖で行方不明者を探している際に、ドローンが1分で操作不能になり海に水没したという事故が起きました。
原因はバッテリーの保管状況が悪かったことが挙げられます。電子機器であるのでバッテリーの残量やパーツの保管状況についても正しい知識を持つことが求められるようです。
3. 最後に
AIを含めたテクノロジーが震災対策に使われるケースが増えてきています。最新のテクノロジーが使われるのはとても頼もしいことではありますが、過信しすぎるのも良くありません。
テクノロジーを使うための知識が問われることはもちろんのこと、予想外のことが起きたときにも対処できるようなプランを持っておくことが必要です。
この記事を書きながら改めてそう感じました。最後まで記事をご覧くださりありがとうございます。
*この記事の参考文献*
・Could A.I. Help Seismologists Predict Major Earthquakes? ・Earthquake Forecasting Using Big Data and Artificial Intelligence: A 30‐Week Real‐Time Case Study in China ・Nerv Disaster Prevention ・MEGA地震予測 ・【石川】消防の災害ドローン 進む導入 浮かぶ課題