【24年最新】太陽フレアとは?次の通信障害や影響を予測するAI
2024年5月8日から大規模な「太陽フレア」が立て続けに発生しており、その影響や動向が世間の関心を集めています。
同11日午前には、これまでで最大規模の太陽フレアの発生が観測されただけでなく、その発生頻度も異常値(観測史上初の72時間に7回)を示しているようです。
これにより、GPSを筆頭に世界中の通信システムに障害が発生することが懸念されています。
また、太陽フレアの影響で、本来は地球上のごく一部の地域でしかお目にかかれないオーロラが日本でも観測されニュースになっていました。
そこで、この記事では太陽フレアによる影響や今後の動向、そしてAIを活用した発生予測技術について解説していきます。
1. 「太陽フレア」とは
「太陽フレア」とは、太陽の表面で時より発生する巨大な爆発のことです。
発生原因については諸説あるようですが、主には太陽が持つ磁場が複雑に絡み合うことによって蓄えられたエネルギーが、短時間で運動エネルギーに変換されて放出される現象であると考えられています。
そのため、特に強い磁場である「黒点」と呼ばれる場所付近では、大規模な太陽フレアが発生しやすいと考えられています。
太陽フレアが発生すると電磁波や高エネルギーの粒子、ガス(プラズマ)などが放出されますが、これが数時間から数日かけて地球に到達し、地球の磁場に作用することであらゆる影響をもたらします。
2. 「太陽フレア」の影響
太陽フレアは地球上の通信システムにあらゆる影響を及ぼします。
その中でも特に影響を受けやすいと言われているのが、Global Positioning System(全地球測位システム、通称GPS)と呼ばれる位置測定用の通信システムです。
これは社会インフラにも使用されている極めて重要なシステムで、カーナビで現在地を把握したり、飛行機の位置情報を取得するためにも活用されています。
GPSは、衛星から送信された電波が受信されるまでの時間差で現在地を特定する技術です。
衛星から送信された電波には正確な送信時刻情報が刻まれており、これと受信時刻の差が電波の送信から受信までに要した時間となります。
電波の進行速度は約30万km/秒ですから、これらを掛け合わせると衛星から受信機までの距離が分かり、複数の衛星からの距離を組み合わせることで正確な現在地が割り出せるのです。
この衛星から発せられた電波は地球の大気層を通過して受信機で受信されますが、その途中に電離層と呼ばれる電気を帯びた粒子が集積する層を通過します。
これらの粒子は電波に干渉して、電波の地上への到達時間を遅らせる作用を持っています。
そして、太陽フレアはこの電離層に干渉し、粒子の密度にバラつきを発生させます。
これにより、衛星から送信された電波の地上での受信時間にもバラつきが生じてしまい、結果的に受信機の位置情報を誤認させてしまう可能性があるのです。
他にも、地上通信の仕組みとして、電波を電離層で反射させて遠方に届ける「電離層反射」というものが存在します。
この通信においても、太陽フレアが電離層に干渉することで電波が想定通り反射されず、通信障害が発生してしまうことがあるのです。
3. 「太陽フレア」の周期
太陽の活動は、おおよそ11年の周期で変動を繰り返しています。
冒頭で述べた強い磁場を持つ黒点の数はこの11年周期で増減を繰り返しており、「極大期」と呼ばれる周期においては黒点の数が増えて太陽の活動が活発化し、逆に「極小期」においては黒点の数が減少して活動が沈静化します。
2024年5月現在は、2019年12月から始まった第25周期に突入しており、諸説ありますが、専門家によると2023年から2026年にかけてを活動ピークとする「極大期」であると分析されています。
ここ1週間ほどで急激に活発化した太陽フレアは一旦落ち着きの傾向を見せていますが、しばらくは注視が必要になるでしょう。
4. 「太陽フレア」を予測するAI技術
ここまで説明してきた通り、太陽フレアは通信技術を中心に機能している現代社会において、重大な悪影響を及ぼすことが懸念されています。
そのため、事前に大規模な太陽フレアの発生を予測して予防策を取ることで被害を最小限にとどめることが必要不可欠です。
そして、この太陽フレアの発生予測にもAI技術の活用が進められています。
その先駆者とも言えるのが、NICT(情報通信研究機構)が開発した太陽フレアAI予報システム「Deep Flare Net」でしょう。
Deep Flare Netでは、ディープラーニング技術を活用して30万枚もの太陽観測画像をAIに学習させることで、24時間以内に発生するであろう太陽フレアの発生確率を規模別に予測することが可能です。
予測結果は6時間ごとに更新されており、インターネットで一般公開されていますので、どなたでも確認することが可能です。

(NICT「Deep Flare Net」太陽フレア、2024年5月16日17:00時点のスナップショット)
今後もAIの更なる性能向上によって、より素早く・より高精度で太陽フレアの発生を予測し、社会への影響を最小限にとどめてくれることを期待したいですね!
参考文献
・「太陽フレア」11日も発生 通信衛星やGPSなどに影響のおそれ ・太陽フレアの発現メカニズム解明に取り組む「ひので」 ・GPSでどうして自分のいる位置が正確にわかるの? ・太陽表面の大規模爆発「太陽フレア」のリスクに備え急ぐ ・「極大期」の太陽、地球上の通信に障害が出る可能性 ・<宇宙天気 AI 予測> 1. 太陽フレア予報運用モデル Deep Flare Net ・Deep Flare Net